診療案内 - 富士動物医療センター

ワクチンを考えよう 2014.2.10

まず、わんちゃんのワクチンの種類ですが、
わんちゃんの５種混合ワクチンは以下の
5つのウイルスワクチンが含まれていて
6種類の病気が予防できます。

　　　　　1.アデノウイルス感染症
　　　　　　　　1.犬伝染性喉頭気管炎
　　　　　　　　2.犬伝染性肝炎
　　　　　2.犬パラインフルエンザ感染症
　　　　　3.犬コロナウイルス感染症
　　　　　4.犬ジステンパーウイルス感染症
　　　　　5.犬パルボウイルス感染症

7種混合ワクチンには、加えて、

　　　　　6.レプトスピライクテロヘモラジー型感染症
　　　　　7.レプトスピラカニコーラ型感染症

の２種類のワクチンが含まれていて8種類の病気が予防できます。
9種混合ワクチンでは

　　　　　8.レプトスピラクリッポチフォーサ型感染症
　　　　　9.レプトスピラポモナ型感染症

の2種類のワクチンが追加されていて　10種類の病気が予防できます。

混合ワクチンとしてはレプトスピラ感染症だけの4種混合ワクチンがあります。
このレプトスピラワクチンには9種混合ワクチンのうち

　　　　　6.レプトスピライクテロヘモラジー型感染症
　　　　　7.レプトスピラカニコーラ型感染症
　　　　　8.レプトスピラクリッポチフォーサ型感染症
　　　　　9.レプトスピラポモナ型感染症

の4種類が別になっています。
レプトスピラだけを分けることは、
1回の注射でたくさんのワクチンが身体に入り
わんちゃんの身体への負担が大きくなることを防いでくれます。

最近では一度に多くのワクチンを接種するより
何回かに分けて接種することで身体への負担を軽減しつつ
しっかりと免疫を得る方法が推奨されています。

さて、どのワクチンをどう接種していけばわんちゃんにとって負担が少なく、
それでいてしっかりと予防効果が得られるのでしょうか。

感染症の流行する季節は？

5種混合ワクチンに含まれているウイルス感染症は一般的な教科書では
「季節に関係なくどの時期にも発生する」とされています。
でも、富士だけかもしれませんが、空気の乾燥する冬の時期に
とても多くのわんちゃんが感染するように思います。
とくにジステンパーウイルス感染症や、パルボウイルス感染症は
真冬に多く発生しているように感じます。
人のインフルエンザウイルス感染症も冬になると流行しているのに
似ていると思います。　

では、9種混合ワクチンに含まれているレプトスピラ感染症はどうでしょう。
レプトスピラ感染症は全国的にも静岡県での発生が多く報告されていて、
病気の発症時期は季節には関係ないとされていますが、9月から11月と限られた季節に集中していることがわかります。
これらレプトスピラ病は秋の病気といってもいいかもしれません。

いつワクチンを受ければ効果的なの?

ワクチンの効果は一年間有効とされていますが、そうはいってもワクチン接種したときが一番高い免疫力があると考えるのが普通です。ワクチン接種後におおよそ2週間ほどで免疫が完成すると言われていますので、病気が発生しやすい季節の1ヶ月前までに接種を受ければとても効果的に予防できると言うことになります。
　発生時期から考えると5種混合ワクチンは冬、もしくは晩秋に接種すると効果が高そうです。そして、レプトスピラワクチンは初夏から夏に接種するのが最も効果的でしょう。

正直、今までは散発的な発生しかなかったレプトスピラ感染症ですが、東名高速道路などのサービスエリアでもドッグランが設けられたりして、日本中のわんちゃんのおしっこと出会う機会が増えてきています。爆発的な流行が発生する可能性も出てきているって言うことになります。

そんなわけで、6月から8月にレプトスピラ感染症のワクチン
の接種を勧めていくことにしました

今までワクチン受けてきたけどどうやって変更すればいいの?

今まで7種混合ワクチンを接種してきた方で特に秋から冬に接種していた子は6月から8月頃にレプトスピラワクチンを追加で受けましょう。初夏にワクチン接種を受けてきている子たちもレプトスピラワクチンを初夏に受けていただき、冬は5種混合ワクチンにへらして接種しましょう。
次年からは、6月から8月にレプトスピラワクチン、11月から1月に混合ワクチンを受けるようにするといいでしょう。
　ワクチン接種を2回に分けることでわんちゃんの体への負担を減らすことができ、予防効果もしっかりと発現できるので、この接種方法は今後ワクチン接種の主流になる可能性もありますね。

家から出ないし、散歩も近所だけだし、
水辺にも行かないのにレプトスピラワクチンは必要なの?

他の犬や野生動物との接触機会が全くない子は
5種混合ワクチンで十分と思います。
ただし、水辺の泥や道路の草むらに行く子は接種した方がいいかもしれません。